流れ星になって
地面にうっすらと光りを帯びた緑色の糸が落ちていた。そして、それは暗がりの先へと続く。
少年の魂はその糸を辿るように先へと進んだ。
また何年か歩いたそのさきに、少年は闇の終わりへとたどり着いた。
洞窟の先に少し開いたドア、その隙間から光がこぼれていた。
緑色の糸はその扉の奥へと続いていた。
ドアを開けるとそこは古代図書館のような部屋だった。
ぎっしり並んだ本棚がつらなり。天井はプラネタリウムのように星座が描かれ、星や三日月の形をしたオーナメントがつるされていた。
デスクの上にはいくつもの天球儀や書類が乱雑に置かれ、糸はさらにその先へと続く。
彼は周りの景色を気にすることなく進む。
導かれるままきしむ木製の13階段を上った。
次の階は天井が高く大きな時計台の裏側のように幾つもの大きな歯車がカチカチと音を立てながら回っていた。
そして、その部屋を照らす赤、青、黄、白の球体が宙に浮かびそれらは規則正しい周期で回転していた。
太陽系とは違う何処かの惑星群。黄を中心に公転する天球儀のように見えた。
少年はその何かの機械、装置のような中を進んでいくと少し盛り上がった円形のステージがあった。
ずっと辿ってきた緑の糸はその台の上で消えていた。
少年がその台の上に立つと床に時計の文字盤のような模様が浮かび上がった。
床から放たれる光に押し上げられ少年の魂は上へと上がっていき、巨大なガラス玉の中へと押し込められた。
すると天井から「ゴゴゴゴゴッ」と大きな音が響き周りの静止していた歯車たちが一斉に回り出した。
鎖がジャラジャラと引っ張り巻き込まれる音に合わせ、天井は扉のように開かれ宇宙空間が現れた。
「ドンッ!!」
まるで大砲のような爆発音と同時にガラス玉の少年は勢いよくその宇宙空間へと放出され流れ星のように遥か彼方へと飛んでいった。